言葉の意味と変数と
最近、思うのが言葉や文章表現の難しさですね。
2011-03-20 04:34:53
入力時間 / 36:48
最近ちょっと文章や情報伝達に関することを何度か書きましたが、言葉というのはすごく難しいなと。言葉とは伝えるための手段・手法ですが自分が思い描く言葉の持つ意味・ニュアンスと、相手に伝わる意味に差異が生じることが多いように感じます。これはもちろん私の文章が拙いせいもあるんですけどね。
私は言葉や文字による情報伝達の精度が落ちている(またはもとから精度が高くない)のは言葉というものが非常に曖昧で広義すぎるためだと思うんです。
プログラムの世界には「変数」という便利なものがありまして、C言語では「int baka;」というように記述するのですが変数bakaの中には扱う人が思い思いの値を代入することができるんですね。言葉というのもそれと同様で同じ「バカ」でも「ばかっ!」なのか「ば~か☆」なのか、同じ言葉の中に扱う人によって入る値が違うと思うんです。ややこしいな。
さて、ここで質問ですが今、私は文頭で「ニュアンス」というカタカナを使いましたが、この言葉の持つ意味を正確に答えられるでしょうか。答えは文末に記載しておきますね。私は情報伝達の精度が低下している一因としてカタカナが多く利用されている事もあるんじゃないかなと。例えば「インターネット」なんてその意味や起源を知ってる人なんて多くないですよね。今回騒がれた「メルトダウン」にしてもそうです。なんとなくの意味は知っている。けれど、それが指し示す本当の意味はと改めて問われたならば正確に回答できる人がいったいどれだけいるでしょう。
また、比喩表現や暗喩などもそうですし文脈によって言葉の持つ性質を大きく変える場合もあります。言葉が本来持つべき意味以上の事が含まれることだって少なくありません。そこが文章の面白いところでもあり、また誤解を招いたりうまく情報が伝わらない原因なのかもしれませんが。
このように、膨大な言葉があってまさに十人十色の価値がその言語に代入されるのであれば情報を正確に伝達することは今後も難しいじゃないかなと私は思うんですね。特にプレーンテキストで情報が交わされるインターネット上においては。こういった危険性を孕んでいる事を誰も特に気にしないし、気にしないから言葉をぞんざいに扱いすぎている気がするんです。
面と向かって話しているのであれば身振り手振りで可能なかぎり情報を正確に伝えることはできると思うのですが今後ユビキタス社会が加速していく中でインターネットの重要性はさらに上がっていくでしょう。しかし、インターネットを使う人達が言葉を知らなかったり、ぞんざいに扱っている限りは誤解や諍いは絶えないんじゃないかな。
言葉というのは難しい。それ以前に言葉がまず不十分で未完なものだという認識が必要不可欠だと思います。そしてその不十分な言葉という道具を使って、いかに自分の思考を相手により正確に伝えるか。そういった努力が今後もっともっと必要になってくるんじゃないかな。
ニュアンス:意味合いの微妙な違い、感覚の僅かな差異など。
メルトダウン:炉心融解。部分的な炉心溶融(partial meltdown)と全体的な炉心溶融(full meltdown)がある。
インターネット:コンピュータネットワーク手段のひとつ。
プレーンテキスト:コンピュータ上で文章を扱うための文字列の形式。他にもいろんな意味がある。
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