ガラケー回帰から見える日本社会
ガラケー、いわゆるガラパゴス携帯に復権の兆しがあるようです。もちろん日本だけの話。そこには日本社会の問題点が凝縮されていると言っても過言ではないかも知れない。
2015-02-22 07:42:55
入力時間 / 19:52
ガラケーを使わなくなって久しいですが、フィーチャーフォン出荷台数が2008年以降初めて前年上回るという統計が出たようです。これをそのまま「ガラケー回帰」や「ガラケー復権」と紐付けるのはいささか暴論な気はしますが、メディア各社はそのように報じていますね。
もちろん他国ではそのような現象は起きていません。ではなぜ「日本でのみ」このような現象が起こるのでしょうか。ガラケーが使いやすいから?ガラケーの通信料が安いから?スマホが使いづらいから?高齢層のデジタル・ディバイドがひどいから?もちろん理由は多岐に渡るでしょうが、根幹にあるのはおそらくひとつ。
若者がお金を持っていないから
に尽きるのではないかなと。超高齢化社会に突入している今の日本では、その高齢者を支える礎となるべき若者の扱いが非常に悪いと私は思います。若者は薄給で買い叩かれ、年配者は逃げ切りを目論む。お金を溜め込んでいるのは当然若者ではなく高齢者なので、高齢者向けサービスのみが拡充されていく。
よく「車離れ」「旅行離れ」なんて言われてますが、離れたくて離れているわけではなく無駄を削らざるをえない若者が削った結果、離れる事を余儀なくされたと考えるのが妥当でしょう。多くの若者にとってはそれだけの余裕が無いのですから。
海外では新築住宅を買う人が少なく、多くは中古住宅を買うっての要因のひとつですよね。お金のない若者も、どこかで日本的な幸福を求める事になれば「いつかはマイホーム」なんて考えるわけですが、数千万単位の出費を余儀なくされるのであれば娯楽や付加要素に回すお金は当然後手になります。結果として新しいガジェットも、自動車も、後回しにせざるを得ません。
総括すると「若者は今を楽しめない状況」と言えるかもしれません。悲観的な未来を回避するために、その未来に備えることばかりを考えているというか。では今の中年以上の人が恵まれているかと言えば、それもそうではない。自身の老後を考えて貯蓄に回さざるをえない。
結局のところ若者も中年以上の年配者も、未来を考えているが故に財布の紐が必要以上にキツくなっているというのがガラケー回帰から見える日本社会の問題点ではないでしょうか。そしてその「守りたい未来」というものはマスメディアがでっち上げたどうでもいい幸福観ということになると私は思います。
住むところがあって、飯が食えて、寝れたら幸せなんですけどね本来は。
日本文化の悪いところである「幸福の比較」と「それを煽るマスメディア」がすべての元凶な気がしてなりません。他人よりいい家に住む必要も、他人よりいい車に乗る必要も、まったく無いんですけどね。そういう根っこにある「日本文化的な幸福観」が少子化すら加速させてると思うんですが。
と、話がずいぶんと広がってしまいましたが、日本はもっと多様な幸福観を持っても良いと思うんだけどな。島国だから難しいんですかねぇ。
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