投資家がアップルを殺す
スティーブ・ジョブズのCEO辞任はショッキングだがアップルは大丈夫だろう。
2011-08-27 00:23:45
入力時間 / 13:52
ただ、いつの日かアップルは株主によって殺される日がくるかもしれない。
スティーブ・ジョブズという生ける歴史上の偉人の超絶的なカリスマによってアップルは多くの信頼を得てきた。スティーブ・ジョブズCEOの辞任によって、アップルという企業が本来進むべき方向性は多くの株主たちによって歪められてしまうかもしれない。それは同時にアップルの死を意味するだろう。
サントリーという企業をご存知でしょう。実はサントリーは非上場企業なんですよね。あれだけ大きな企業にも関わらず非上場企業って珍しいですよね。wikipediaをご覧いただければわかると思いますが「酒の醸造には時間がかかり、短期的な利益を要求される株式公開に馴染まない」、「株主に商品の味を左右されたくないから」、「直接的な利益に結びつかない文化事業のリストラを要求されるため」というちゃんとした理由があるんです。
投資家は自身の利益を得るために投資する企業に対して短期的な収益性を求める傾向があります。種を蒔いてじっくりと市場を育てるだとか、採算の悪い先見性の高いビジネスを疎む傾向があるんです。しかし、多くの株主をもつアップルはこういった短期的な収益を求める投資家の声をスティーブ・ジョブズという偉大なるカリスマの存在によって抑制してきたという側面があります。
例えばこれは初代iPod発表時(2001年)の基調講演ですが、近年の基調講演のような賑やかさや反響はまったく有りませんでした。なぜならば当時、単価の非常に高いデジタルオーディオ市場への参入を多くの投資家やアナリストたちは成功するとまったく思っていなかったためです。しかもiPodは当時主流だったシリコンオーディオ(Flashメモリ)ではなくハードディスクを採用していました。
しかし、このiPodによる音楽業界への参入はApple破竹の快進撃の序章を飾ることになります。iPodでの成功無くしていまのアップルを語ることは決してできなかったでしょう。当時の投資家が見えていなかった未来をアップルは見据えていたんです。
日本の上場企業もそうですが、上場企業とは基本的に投資家の顔色を伺い、なだめながら経営することを余儀なくされます。しかしそれによってイノベーションがもたらされる可能性はゼロになってしまう。日本企業を見ればわかりますがお金を稼ぐことには長けていても、決して市場のイノベーターにはなれない。
私はアップルは今後も大丈夫だと思っている。
しかし、アップルが投資家の声に屈する時、アップルはおそらく投資家に殺されるだろう。
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