Amazonと家電量販店
Amazonが猛威をふるうなか、家電量販店からささやかな復讐が展開されています。
2012-11-21 09:11:02
入力時間 / 24:33
ヤマダ電機など家電量販大手3社はKindleの取り扱いをしないそうです。とてもささやかな仕返し。なんかちょっと目頭が熱くなりますね。そしてこの構図、どこかで見たこと在るぞ(笑)あれ、音楽業界・出版業界と同じじゃね?
私はいまから遡ること12年ほど前に家電量販店で働いてました。北海道最大手だった「そうご電器」という量販店です。そうご電器は道外から進出してきたヨドバシ・ビッグカメラ・ヤマダ電機に駆逐されることになるわけですが、奇しくもそれら大手がAmazonに駆逐されようとしているのはなんだか感慨深いものがある。
ちなみにAmazonは日本国内の家電量販店から「不当廉売」の嫌疑で叩かれてもいる。まぁ前述のそうご電器や多くの家電量販店が淘汰されたのはヨドバシ、ビッグカメラ、ヤマダ電機に価格競争で敗れたわけですから「どの口がそれを言うか」という気分なんですけどね私は。
小売業とはなんのためにあるのか
インターネットを介して製造元から直販できるような時代です。多くの問屋・卸売業者・小売店がネットショップに淘汰されている昨今において小売業の存在とは何なのか。消費者が自分で調べて自分で買う時代です。そんな時代に小売業という業種は生き残っていけるのか。
知識を買う。
そこで私が思うのは「知識を買う」ということ。これはネット販売でも同様ですが「商品知識」というのは一朝一夕で身に付くものではありません。接客業を生業とするものは誰にも負けない商品知識を持っている必要があると私は思います。自分で調べれば知識なんていくらでも手に入りますが、知識を得るためには時間と労力がかかるわけです。それを消費者の代わりに学び、最適な提案をする能力を持つことが小売業だと私は思うのです。
安心を買う。
そしてもうひとつが安心。これは知識に裏打ちされた安心感です。安心感があるから提案が活きるし、提案があるから安心感が生まれるとも言えます。「この電気屋のお兄ちゃんに任せれば大丈夫」感とでも言うのかな。つまりはプロフェッショナルであれという事だと思うんですが。
つまりは質の高い接客
私がAmazonを高く評価する理由は「ネットで接客をしよう」とするその心意気です。「ただ商品を売れればいい」というものではなく「より良い購入体験を提供する」ということを目的としている点です。それはつまり「消費者のことを親身に考えること」と同義だと私は思うんですね。
今回の「Kindle売りません」宣言もそうですが、それは消費者のためなのか自身のためなのか。答えは明白です。これはなにも小売業だけの話ではありませんが「消費者のために何をすることが最善なのか」を追求することこそが私は商業だと思うんですけどね。
私はセルフのガソリンスタンドが嫌いです。雀の涙程度しか安くないセルフを利用するよりも、手厚いサービスのガソリンスタンドを利用するほうが気持ちがよいからです。価格競争という要素は商業でもちろん大切だし、そのための努力を惜しむべきではないと思いますが、商業は価格が本質ではないと私は思います。
「自分が消費者に何を差し出せるのか」というのは、この社会で生きていく上で大切な事だと思うんですけどね。
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