人は不条理
人は理屈によって導かれる答え以外の、筋に違える答えを出す場合がある。
2011-12-28 15:25:04
入力時間 / 11:38
これは今から10年前、私がまだ電気屋さんでMacの売り子をしていた時の話である。
当時は5色iMacのお陰もありMacの売上はそう悪いものではなかった(利益率は最悪だったが)。お客さんが商品の前で一定時間考えている素振りを見せると「お探しの商品や、商品についてわからない事はありませんか?」と入るのが私の接客ルールだった。
ある日、接客したお客さんとの話。お客さんからやりたい事や予算などをヒアリングして構成と見積を出した。しかし、商品構成からして他店であるヨドバシカメラで買ったほうが安く済むのは間違いがなかった。そこで私は「この構成であればヨドバシカメラで買ったほうが良いと思います」と、馬鹿正直に進言するに至った。
お客さんは当店を一度は後にしたが、結果としてはその日のうちに再び来店し、当店から商品を買うに至った。お客さんに「あなたから買いたい」という言葉をいただいた。私はとても嬉しかった。
ケント・M. キース、逆説の10カ条にも書いてる通り、人はとても不条理で非論理的な生き物だ。
しかし、その不条理や非合理性が必ずしもすべて悪であるわけではない。
数値では明示できない道徳やモラルに関しては不条理の塊だ。しかしそれを否定することはできない。
顔は憶えていないけど、今でもこの一事はしっかり覚えている。
私の達した結論の背中を押してくれたこのお客さんの事を、私は生涯忘れることは無いだろう。
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