ジョブズは純粋だった
スティーブ・ジョブズは純粋だったと思うんだ。
2011-10-07 01:54:16
入力時間 / 54:59
彼は革新者であり異端者でもあった。でも誰よりも純粋だったと私は思うのだ。
偉大なふたりのスティーブが最初にApple Iをリリースした時からこの世を去るまで彼のの目的は一貫していた。
パーソナル・コンピュータ
パソコンってパーソナル(個人で扱う)・コンピュータ(電算機)だって知ってましたか。コンピュータを「パーソナル」なものにするという目的を最初に達したのはアップルでした。当時はマイコンブーム全盛、Apple IIが発売されたのは1977年の話。私はまだ生まれてすらいない。
GUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェース)とマウス
いま当たり前のようにマウスでコンピュータを操作しているこの仕組を一般化したのもアップルです。それまでのコンピュータはMS-DOSのようにCUI(キャラクタユーザインターフェース)によって操作される非常に操作技能と知識を要する代物でした。1984年、伝説的なスーパーボウルでのプロモーション「1984」とともにMacintoshが世に出ることになります。
その後、諸所ありましてスティーブ・ジョブズはアップルを追放されるんですけどね。
追放されたジョブズは2つの会社を立ち上げます。
WorldWideWebの先祖NeXT
世界で最初のWebサーバはNeXT cubeだった。という話はあまりに有名ですよね。先駆的なOS「NEXTSTEP」を搭載したNeXT cubeはとても高価なワークステーションで商業的には失敗に終わりましたが、多くのエンジニアからは愛された機体でした。ティム・バーナーズ=リーも同様で、NeXT cubeによって世界初のWebサーバであるhttpdと世界初のウェブブラウザ、HTMLエディタであるWorldWideWebをつくりました。
ちなみにNEXTSTEPは現在のMacOS XやiOSの基礎となり、GUIの基本的な部分は今もほぼ変わっていません。1989年の話です。20年以上も前の話なんですよね。
世界初のフルCG長編映画制作会社ピクサー
トイ・ストーリーは世界初の長編フルCG映画でした。トイ・ストーリーをつくった今では有名な制作会社ピクサーもスティーブ・ジョブズがつくった会社です(正確にはルーカスフィルムから買い取った)。今でも多くの感動的な映画を世に送り出していますよね。エンドロールには必ずジョブズの名前が入ってたりしてね。1995年の話。
アップルへの復帰とiMac
そしてなんやかんやありまして、NeXTをApple Computerが買収する形でジョブズはアップルに帰ってきます。そこで登場したのがiMac。一時は日本のソーテックからe-Oneなんて名前のパチもんもでましたね。
iMacは堅苦しい「パソコン」をより一般消費者に近づけ、「簡単にインターネットに接続できる」という今では当たり前のことをやってのけました。当時主流だったフロッピードライブやシリアルポートを排除し、USBとCD-ROMのみにしたのもiMacが最初でしたね。1998年の話。
デジタルハブとiPod
2001年、ジョブズの基調講演で「デジタルハブ」という構想を打ち出しました。デジタルハブとはMac(コンピュータ)を中心として様々な情報やライフスタイルを変えるというものです。その構想の中には、いまでは多くの人がつかっているiTunesやiMovieなども含まれています。これはコンピュータのあり方、利用シーンを業務的なものから、日常生活に近づけるという趣旨のものでした。
その流れの中でiPodも発表されました。当時はさほど大きな評価を受けなかったiPodですが数年後、街を歩けば多くの人が白いイヤホンをしていたことを皆さんもご存知でしょう。iPodはデジタルミュージックの在り方を変え、また音楽の扱い方も変えてしまいました。
iTunes Store
今では世界最大のミュージックストアになったiTunesがリリースされたのが2003年の話。iPod隆盛の流れとともにそれまではNapstarやWinMXによる「デジタルミュージック=違法ダウンロード」という図式を覆したのもアップルだったんですよね(※日本はまだアレですが…)。違法でダウンロードするよりも、1クリックで合法的に買うという流れを最初につくったのもアップルなんです。
電話を再発明 iPhone登場
そして2007年。おなじみのiPhoneがリリースされます。
iPodと革新的インターネットデバイスと電話を組み合わせたそれは、まさに革新的でした。ほんとうの意味でのユビキタス時代の幕開けはこのiPhoneによってもたらされたと言っても過言ではないでしょう。時間やロケーションを問わず、いつでもインターネットに繋がる。情報の扱い方が変わる。それもパソコンのように知識を必要とすること無く。
コンピューティングの手法を変えたiPad
そしてMacintoshによってもたらされたパーソナルコンピューティングの概念を破壊したのもまたアップルでした。
コンピューティングとはデスクに座りキーボードとマウスを使って行うという概念をiPadは見事にぶち壊してくれました。パーソナルコンピュータのように専門的な知識を必要とせず、誰もが直感的に意識せずにコンピューティングできる端末。それがiPadですよね(まだ進化途上ですが)。
誰もが等しく当たり前のようにコンピュータに接する事ができる
まるでそれを最初から知っていたように、誰もがそれを扱うことができる。偉大なふたりのスティーブがアップルをガレージで立ち上げたその日から、その信念は一度たりとも揺らぐことはなく幅広い分野で「デジタル」を「より身近で当たり前なものに」するためにジョブズはその生涯を費やしてきました。もちろんそれらすべてがジョブズひとりによる功績では無いでしょう。それでも、この一貫した信念は確かにジョブズの存在によるところが大きい事に疑いの余地はありません。
とてもシンプルな事です。今では当たり前のように多くの人が知らず知らずのうちにコンピュータによる恩恵を享受しています。その多くの事がジョブズとジョブズのつくったアップルによってもたらされた事を殆どの人が知らないでしょう。
ただ純粋に。ジョブズはそのひとつの目的を生涯をかけて達してきたと私は思います。
陳腐な言葉しか出てきませんが本当にすごい人です。
すごいとか偉大とか天才とか、そういう言葉では括りきれないほど。
ほんとうに、あまりに偉大な人物を世界は失ったんだな。
でもその意志は世界中の多くの人が確実に受け継いでいると思います。
とても長くなりましたが、本当にジョブズさんお疲れさんです!ありがとよっ!
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