コンテンツホルダーが台頭する日
コンテンツホルダーの存在感が日を追うごとに増している。
2010-05-10 21:52:06
入力時間 / 16:30
コンテンツホルダーとはコンテンツ(情報)を所有している人や企業の事です。そしてコンテンツ(情報)とは音楽や映像、漫画、書籍、などすべての情報をさします。インターネット創世記から昨今に到るまで、コンテンツ自体よりもコンテンツをプロモートするための技術やノウハウの方が持て囃されていました。
それは出版業界なども同様で、聞く話によればコミックや文庫などの書籍の売価の1割程度しか著者には入らないそうです。それでも莫大な数が売れれば元も取れるでしょう。でもそうでない場合は赤字になってしまいますよね。
ソフトウェア開発やゲーム業界でもプログラマ個人が評価される事はありません。
販売した企業が評価されるのみで、実際に手がけた多くのスタッフ自体が日の目を浴びる事は極々稀です。
しかしiPhone及びiPadの誕生からこの世界は大きく変わりました。開発者、執筆者、アーティストと消費者がほぼダイレクトにつながるマーケットの構築に成功したわけです。これによってコンテンツホルダーはより安価で高い利益率のコンテンツを提供でき、消費者はより安価に今までと同様のコンテンツを購入する事ができるわけです。
あ、これ前も書いたかもしれませんがこの構図はSCEI(ソニー・コンピュータエンタテインメント)がプレイステーション発売時にとった中間マージン削減のための戦略をより合理的にしたものです。コンテンツ自体がデジタルであるため流通コストは限りなくゼロに近づき、消費者と創作者を直に繋げるため誰も損しない市場を構築できたと言うわけです。
漫画や書籍が本屋さんから無くなるのはまだ遠い未来でしょう。それでもかさばる漫画や書籍、雑誌の類はデジタルで安価に購入し、またそれらのコンテンツホルダーがより安定した対価を受け取りやすい時代がすぐそこまで来ているわけです。
そんな確実に訪れる未来があるにも関わらず、日本の多くの出版社はデジタル化に対して難色をしめしています。それも当然。そんな市場が日本で成立してしまっては自分たちの仕事が無くなるためです。消費者のためでもなく、コンテンツホルダーのためでもなく、旧態依然の自社を守るためだけに。
そう遠くない未来ではコンテンツホルダーはもっと強大な権力を持つはずです。そして今以上の多くの人間たちがiPhoneアプリを配信する日曜プログラマのようにコンテンツを無償や有償で配信するクリエイティブな時代が到来するでしょう。書籍や音楽、文章、映像、アプリケーション。誰もが自由にコンテンツホルダーになり、本当の意味でのインターネット時代が到来すると私は信じています。
一部の人間を守るためだけに市場や人類の進化に反対するのはナンセンスだ。
反対する労力があるならば新しい時代に対応すべく奮起してもいいのでは?と思いますね無職の私は。
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