和田憲幸のブログ

札幌市白石区在住、個人事業のWebエンジニア 和田憲幸(44歳)のブログです。

著作権に見る日本と海外の違い

ITと著作権は切っても切れない関係。それはこれまでも、そしてこれからも。

2010-12-14 19:07:15
入力時間 / 15:27

世にはびこる情報がデジタルになるほど問題が浮き彫りになっている著作権。これまでも、これからも著作権侵害をどう防ぐかという問題は未来永劫無くなることは無いとは思いますが、著作権保護に対するアプローチで日本と諸外国とでは決定的な違いがあるんですね。

現在、アップルのiPadやiPhoneアプリの海賊版電子書籍が問題になっていますが、実際のところそれが著作物なのか、海賊版なのかをアップルがしっかりと見極める事はハッキリ言って難しいんじゃないかなと私は思います。だって何万何十万と申請されている著作物の出典をすべてチェックしていたら審査に何年かかるかわからないですよね?

決してアップルを擁護するわけじゃないけど、これは日本という国家と諸外国の著作権保護に対するアプローチの違いだと思うんですよ。結論から言うと、日本は「著作権が例外なく絶対に保護されること。万に一つでも著作権侵害コンテンツが世に出る可能性があるなら無理。」という前提だと思うんです。対して諸外国はアップルやGoogleのYoutube、Android Marketを含めて「著作権侵害コンテンツが世に出るのは必然。出たら対応する。」という事だと思うんです。

正直、Youtubeがここまで真っ当なビジネスモデルに昇華できるなんて当初予想できなかった。だって著作権侵害コンテンツの巣窟だったんですよYoutubeは。各国からの非難も多かったし昇華する前に潰れると思っていた。でもそうじゃなかった。Googleは著作者に「著作権を侵害しているコンテンツを見つけて削除するための優れたツール」を提供したからだ。

実際問題、著作権侵害という事実を未然に防ぐことは難しい。諸外国はそれを十分に知っている。しかし日本はどうやらそれをどうしても未然に防ぎたいようだ。未然に著作権侵害を防ぐことばかりを考えた結果が今のこのIT後進国という屈辱的な結果だと言うのにもかかわらずだ。

著作権は保護されてしかるべきだ。でも著作権の侵害は未然に防ぐことなんて実際問題できないと私は思う。これは何も著作権だけの話しではない。日本という国はそもそも「起こる可能性のある問題」に対して極めてネガティブだ。「問題が起こるならやらない」という風潮は日本という国家の進化を停滞させる大きな要因なのではないか。大切なのは予期される問題に対して「どうそれに対応するか」という点なのではないか。

保守的というか堅実的というか。もちろんそれが悪いところばかりではないが、そういった保守的な点において他国の後塵を拝す原因になっているのではないかと思う昨今でございます。コンテンツ大国の日本。このままだと良くないよ。日本の権利団体もはやくその事実に気付くべきだ。というか気づかないと本当に厳しい。

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